新しい学校環境づくり T32 6月8日 (金) 13:00〜15:00
学校改修による既存学校施設の再生
講演内容:
既存学校施設を有効活用するために〜文部科学省の取組〜
学校施設は、子どもたちにとって、一日の大半を過ごす学習・生活の場であり、 学校教育活動を行うための基本的な教育条件です。また、地域住民にとっても、最も身近なコミュニティーの拠点であり、非常災害時には応急避難場所としての 重要な役割を担っています。 
 このような認識のもと、現在、既存学校施設が有している課題を整理し、 安全・安心で、今日的教育課題に対応する‘有効’な活用に向けた、 文部科学省の取組を紹介します。

文部科学省 大臣官房 文教施設企画部 施設助成課 課長補佐
笠井 賢 氏


既存学校施設を現代的教育に対応させるアイディア事例
 国の「公立の学校建築」は、集合住宅のような維持管理がなされてこなかったことから、建物をながく・よく使い続ける意識に欠けていたといえます。現在、既存学校施設はおよそ半数が30年以上経過したRC造校舎で、しかも、新耐震基準を満たさない危険校舎を数多く抱えているのが現状です。一方、わが国社会は未曾有の少子高齢化社会を向かえた上に、国及び地方自治体における財政状況は大変厳しい状況です。
このような背景から、既存学校施設をどのように有効活用し、しかも教育の現代化に対応させるか、学校設置者はもとより施設利用者側からの視点で、よりより事例を参考にみんなで考えたいと思います。

東京電機大学 情報環境学部 教授
吉村 彰 氏


学校改修による既存学校施設の再生〜川崎市の教育環境整備の取組み〜
 【改修による既存地域資源の再生】
(川崎市立御幸小学校整備事例の紹介)
 川崎市はこれまで、児童・生徒や教職員等に安全で快適な教育環境を提供し、また、地域資源としての学校施設を有効に活用するため、学校の適正規模・適正配置を踏まえながら校舎の新築、改築、増築及び大規模改修の手法により教育環境の整備を行ってきた。
 今後の学校施設の整備については、当面、耐震化の推進を重点的に実施することが急務であり、併せて老朽施設の質的整備を行っていく必要がある。耐震化については平成20年度(大規模改修が伴うものについては平成22年度)に事業完了するとともに、教室環境の整備についても、平成20年度以降、全ての普通教室を冷房化する計画を策定中である。
 安全で快適な教室等の室内環境の確保に当たっては、教育内容・方法の多様化に対応する創意工夫が必要であり、また、地域資源として、学校が地域コミュニティーの核として機能しうる施設整備を行っていくことが重要である。より多くの児童生徒・教職員にとって安全で快適な学校施設を整備し、学校施設を地域資源として有効に活用していくためには、改築から改修への整備手法の転換が必要であり、改修による教育内容・方法の多様化に対応した学校施設の整備(多機能化・高機能化)を行うことにより既存地域資源の再生を図る。

川崎市教育委員会 総務部 教育施設課 課長
海野 剛志 氏