理科教育 O26 6月20日 (水) 16:00〜18:00
新たな理科教育展開に向けて
講演内容:
イギリスの新しい高校物理カリキュラム「アドバンシング物理」から学ぶもの
「アドバンシング物理」はイギリス物理学会が1998年から3年かけて開発した高校物理カリキュラムです。「アドバンシング物理」研究会では2002年から5年間、このカリキュラムについて研究し、高校生や大学生を集めた公開講座を行って、日本の物理教育改革につなげる努力をしてきました。セミナーでは「アドバンシング物理」の内容を簡単に紹介し、我々の活動成果について報告いたします。

前 京都教育大学長
「アドバンシング物理」研究会 代表
村田 隆紀 氏


人間の成長にとって自然の役割とは
今の小学生は、学校の勉強と、習い物事の塾、算数や英語などの学習塾に追われています。中学生は部活動と学習塾です。
その中で、子どもはわずかな遊び時間で「テレビ」、「漫画」、「ゲーム 機」、最近は「携帯電話」などで受動的な遊びをむさぼっています。
トータルに見ると、学校も含めて子どもの成長過程で自主的な活動がほとんどないことに気づきます。これが大問題なのです。
想像以上に教育的な環境が悪くなっている現代社会の中で子どもが豊かな人間性を培っていくためには、幼児期や小学校における自然を通した活動が何にも代え難い最高の滋養なのです。「学力低下」に目を奪われて、子どもの成長にとって何が必須なのかという観点を見落とした教育を進めてはならないと考えています。

愛知教育大学 教授
川上 昭吾 氏


大阪教育大学における次世代理科教育の取り組みから
小学校の理科の時間は50年前の628時間から350時間へと半減し、理科の実験観察のための時間が非常に少なくなっていると同時に、日常生活における自然体験やものづくり体験も減少しています。
このため、教員養成系大学・学部の学生に対しても、理科の実験を指導する能力の不足が懸念され、理科教育縮小のスパイラルが我が国の産業技術の維持に赤信号をともしています。 
大阪教育大学では、小学校教員養成課程の全学生が小学校の理科の各分野の実験や観察を体験するための授業の整備を進めています。また、小学校教員を対象とした初心者の理科実験の研修も実施してきました。物理分野を中心としてこれらの活動の現状を紹介します。

大阪教育大学 教授・学長補佐(評価・情報担当)
越桐 國雄 氏