大学の新たな情報化の流れ T12 6月7日 (木) 16:00〜18:00
e-Learningによる学部学科の誕生
講演内容:
eスクールを基盤とした次世代の学部教育システム構築への挑戦
早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)は2004年4月にスタートし,2007年3月に完成年度を向かえ53名の卒業生を世に送り出しました.これは入学者の約40%(2年後には80%を超えるとの予測)に相当し極めて高い数値であり,従来の通信教育の概念を大きく変えるものです.
eスクールの成功要因は決して高機能なLMSを導入したことや,高額の予算でリッチなコンテンツを作成したわけでもありません.それは,全教員が一丸となって手作りで構築してきたシステムであること,そして,教育コーチの導入や企業との連携など実効性の高い運用モデルを適用してきたことにあります.早稲田大学人間科学部ではこのeスクールを基盤として次世代の学部教育システムの構築を推進しています.
本セミナーではeスクールの基盤と,早稲田大学人間科学部が考える学部教育の将来構想について話題を提供させていただきます.

早稲田大学 大学院 人間科学研究科 教授
松居 辰則 氏


日本初 eラーニングの専門家を eラーニングで養成する大学院をスタートさせて
 日本初の eラーニングの専門家を eラーニングで養成する大学院、教授システム学専攻をスタートさせて 1年が経過した。教授システム学とは、教育活動やコース・教材をシステムとして捉え、科学的・工学的なアプローチを行い、高品質な eラーニングによる教授システムを開発する上で必要不可欠な関連領域「4つのI」: インストラクショナル・デザイン(ID)、情報通信技術(IT)、知的財産権(IP)、マネジメント(IM)を体系化したものである。本専攻の設立に至る経緯から、開講から 1年が経過した本専攻の現状、今後の展開までを、本専攻の特色、教育内容を紹介しつつ概説する。合わせて、熊本大学における eラーニングを活用した教育改善のための取り組みについても紹介する。

熊本大学 eラーニング推進機構
熊本大学 大学院 社会文化科学研究科
教授システム学専攻 准教授
松葉 龍一 氏


学びのイノベーションを創発するeラーニング運営組織
何のための大学改革か?何のためのeラーニングか?伝統的な大規模大学においては、既存の教育体系を根本から覆してまったく新しい教育体系を築き上げるにはリスクが大きすぎて現実的ではない。むしろ、大学教育の進化を目指しつつ、既存体系と相補的に機能する教育体系を組み込むべきである。ここで考慮すべきは、本来教育にとって本質的でありながら面接授業をもとにした既存の教育方法では決定的に欠けていた点を掘り起こし、それを相補的な教育体系を築き上げるための導入原理にできるかどうかであろう。私たちは「大学組織の健全性」を導入原理として、既存体系と協調しつつ進化できる大学教育のあり方へ向けた明治大学での取り組みを紹介する。

明治大学 情報基盤本部 本部長
法学部 教授
阪井 和男 氏