大学教育改革 O29 6月23日 (土) 16:00〜18:00
今後の大学教育改革
講演内容:
学士課程教育の質保証に向けて
日本の高等教育は,量的な拡大と質の保証という一見相反する課題に取り組んでいます。これは日本だけではありません。アメリカもヨーロッパ諸国も共通の課題です。しかし,そのプロセスと実現する仕組みはかなり違います。日本では,認証評価制度の導入,GPAや単位の実質化など,文部行政の先導による取り組みが行われ,この3月には,中教審大学分科会の審議のまとめ「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」が公表されました。そもそも高等教育の質とは何であり,質保証とは何を意味するのでしょうか。一連の施策は有効でしょうか。学士課程教育をめぐる基本的な問題について考察してみたいと思います。

東北大学 高等教育開発推進センター
大学教育支援センター長 教授
羽田 貴史 氏

学習の質の評価について―パフォーマンス評価を中心に―
本講演では、学習成果の直接評価の方法として注目され始めている「パフォーマンス評価」を中心に、学習の質の評価のあり方について考える。学習者の実演や作品をもとにした評価は従来、教師の主観に頼りがちであり、そのため「成績評価の客観化・厳格化」といえばGPAというような一面的対応が広まっている。一方、最近では、主観的な評価を防ぐために「ルーブリック」が用いられることが多いが、〈パフォーマンス評価=ルーブリック評価〉という狭い理解に陥っている例もみられる。本講演では、こうした現状を克服するために、パフォーマンス評価の理論をふまえつつ、具体例をまじえながらパフォーマンス評価の可能性と課題について議論する。

京都大学 高等教育研究開発推進センター 教授
松下 佳代 氏